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先生はエクモ(ECMO)を回せるのですか?

最近よく言われるのですが、

「先生はエクモ(ECMO)を回せるのですか?」

「エクモ(ECMO)の留置も管理もできますけど、それがどうかしたのですか?」

「へえ、先生って、凄いのですね。」

「いえいえ、凄くないです。色々な専門分野の専門の先生がいるのと同じように、専門分野がそれ(ECMO)を扱うだけだったので自慢するようなことではないのですよ。」

エクモ(ECMO)とは人工心肺装置ECMOExtracorporeal Membranous Oxygenation:体外式膜型人工肺)のことで、よく救命救急のテレビドラマで出てくるPCPS(経皮的心肺補助)はV-A ECMO(動脈に送血管を留置、静脈に脱血管を留置)と同義です。ですからPCPSも広義でECMOに含まれます。

昨今のコロナウイルス感染症の報道で、一般の方々にもエクモが良く知られるようになり驚いています。と同時にその診療に従事する先生方が、かつての私もそうだったからよくわかるのですが、毎日大変な苦労をされているのだろうなということは察しがつきます。

具体的にはこんな1日が始まります。朝830分に出勤して、エクモの装着された担当患者さんが決定し、診療が開始となります。濃厚赤血球や新鮮凍結血漿のオーダーを行い、輸液メニューを考え、指示を考えます。そうこうしているうちに夕方になり、患者さんの血行動態が不安定だと更に時間がかかります。全身状態を把握して、尿量が少ないのか、昇圧剤が足りないのか、循環血漿量が足りてないのか、様々な原因を調べて状態の改善を図ります。時間がかかる場合は翌朝の午前4時頃まで患者さんのベットサイドで張り付きになっていたことがありました。当直医の先生より、後は指示だけ出しといてくれたら診ておきますよと声をかけられたら、20時間近くもベットサイドに居て、驚いたこともありました。後で思い返すと、そういえば日勤帯、準夜勤、深夜勤の看護師さんが申し送りに来ていたっけと思い出しました。忙しい病院ではこういう日々がほぼ毎日、だいたい、12月~3月くらいの3~4ヶ月続きます。「休みが欲しいというような贅沢は言わないから、せめて毎日1~2時間でも良いので病院のベットで十分なのでゆっくり眠る時間が欲しい。」と思っていました。コロナウイルス感染症患者さんの治療で、おそらく、今現時点でもECMOの管理を行っている医療従事者の方々がたくさんおられると思います。かつての私がそうであったように、大変な思いをしてコロナウイルス感染症の診療にあたっている医療従事者の方々に敬意を表するとともに陰ながら応援しています。