ブログ

診察の話1

勤務医の時の私の外来は常に混んでいて、短時間にたくさんの患者さんを診察していました。

その時は一生懸命で、外来診察の最中に入院中の重症患者さんを診に行ったり、外来受診されている患者さんが急に状態が悪くなることもしばしばあり、さながら、戦場のようになっていました。

そんな中である患者さんが、私がその病院を去る事が決まって、最後の挨拶をした時に、「先生の外来に来て、採血結果を聞いて投薬を受けるのが、私の心の支えでした。」と涙を流された方がおられました。

こちらとしては、短い診察時間に十分にゆっくり話を聞くこともできず、畏れ入って恐縮してしまい、なんだか申し訳ない気持ちで一杯になりました。

と同時に、人から感謝されるとは何と素晴らしいことだろうと思いました。多かれ少なかれ、人間には無私の心があって、何かを行うとき、損得抜きで、誰かのためになるようなことを無意識にしたいと思うことがあります。それは感謝されることもあれば感謝されないこともある。

人から感謝されると嬉しくなるのは人間である以上誰でもそうでしょう。医者という職業をしている人は少なからず、こういった気持ちを持っている人が多いのではないかと思います。臨床では常に患者さんが良くなるにはどうすればよいかを考えているし、研究でもこの研究が多くの人のためになると考えて研究している人も多いと思います。

最近ふと、どうして医者になったのと聞かれて、どうしてなったのか日々の仕事の追われて忘れてしまっていたのですが、人から感謝されることが嬉しくて、この仕事をしていたんだなとその理由の一つが自分で分かったような気がしました。